突然ですが、私は地方の出身です。
とある界隈ではINKと言われる地域。
INK
それはINAKA。
「バスは一日2度来る」
そんな地域から、私は東京に出た。
そこで経験した出来事を。
この想いを、誰かと共有したい。
その一心で書きます。
初めての東京暮らし
INKから来た私にとって、東京は衝撃の町。
「3階建て以上の建物があったら、そこは都会」
という感覚だった私にとって、すべてが大きく、多様で、濃密だった。
「変な人に騙されないように気を付けるんだよ!」
心配性の母は何度も私に言っていた。(ような気がする)
田舎者らしくきょろきょろする私は、たぶん一番変な人だったはずだ。
しかし、そんな衝撃はほんのひと時。
人間、便利なものにはすぐになれるものです。
2分おきに来る電車も、自動改札も、あっという間に馴染んで行きました。
(長くなるので前置きはこのくらいにします)
慣れ始めた東京
東京ルーキーはJR線しか使いません。
たぶん。
地方から来た人に、東京の路線図を書かせたとしたら。ほとんどの人が山手線しか書けないと思うの。
私はそうでした。
そして、そんな私はJR線ばかりを使い、主要な街並みを覚えるに至った。
もう、きょろきょろ辺りを見渡すような、INK民丸出しの私はいない。
どこに行くにも、迷わずたどり着くことができる。
「私はもうINK民ではないのだ…!!」
未開の地
そんなとき、私はこんなことを考えていた。
「東京メトロを使う者は上級者」
metro。それは地下鉄。
地下鉄に乗るためには、地下に降りなければならない。
得体のしれない恐怖が、地下にはある。
INKに地下は無い。(偏見です)
掘る必要がないから。(偏見です)
とにかく。一度入ったら出てこれないような…
そんな不安感が、地下にはあった。
しかし、いつまでも回り道はしていられない。
そして、私はついに…
地下への進出を決意する!
はじめての、東京メトロ
この日、私は初めて東京メトロに乗った。
「東京メトロ銀座線」
東京!
メトロ!
銀座!
怒涛のパワーワード3コンボ。
どこを取っても完全なる都会。
ここまで圧倒的都会感で構成された言葉は他にあるだろうか?
私は、そんな東京メトロ銀座線に乗るため、新橋駅の階段を…
それはもう澄ました顔で下った。
そう、私はついに地下への一歩を踏み出したのだ…!!
微かな鼓動の高まりを感じながら改札を通過し、ホームに出る。
「なんだ、全然普通じゃないか。」
知らない場所に踏み込むには勇気が必要だ。しかし、多くの場合、踏み出してさえしまえば、どうということはない。
未知こそが最大の敵なのだ。
車両に乗り込むころには、脈拍も平常。不安など何一つない。
「これで私も上級者…!!」
謎の優越感に満たされ、私の意識はこの後の予定にシフトした。
一体いつから―――――――――
ドアが開き、外に出る。
そして、階段を登る。
登った先で、ちらりと辺りを伺う。
「出口らしき雰囲気を感じない…これは、B2Fに着いていたパターン。エスカレーターを使うべきだった」
などと思いながら、澄ました顔でさらに階段を登る。
しかし、未だに出口の気配はない。
「B3F!?まさか、こんな深く…!これが、、渋谷!!」
かすかに息が上がり、脈拍も上昇。しかし、澄ました顔で階段を登る。
3個フロアを登り切って、そこで、私はようやく違和感を覚えた。
「ここは…、いったい何階なのだろうか…」
辺りを見渡し、フロアガイドを探す。
そして、小さなフロアガイドに歩み寄った私は…目を疑った。
~6F~
(´゚д゚`)
かっと顔が熱くなる。
脈拍が早くなり、思わず俯く。
状況が呑み込めず、私はふらふらと歩きだした。
彷徨っていると、大きなガラス張りの窓が見えた。
近寄って、外の景色を眺める。
地上6Fからの、渋谷の街並みが広がっていた。
「一体いつから――――――――――――地下鉄とは地下だけを走るものだと錯覚していた?」
名は、体を表すのではなかったのか。
ビルの窓に張り付いて、口を半分開いたまま景色を眺める姿は…
INK民そのものであっただろう。
お母さん、東京は怖い街です。
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